「どうしてあなたは絵を描いているのですか?」
私は小さいころから非常に眠気の強いこどもでした天気の良い日に布団が天日干ししてあると
じっと見ていて
家族が布団を家に取りこんだ瞬間にそのうえに寝落ちするような
睡眠に飢えている変わったこどもでした
それには理由があって外界の刺激を感じ取る力が敏感だったからです
よい言い方をすれば感受性の強い
別の言い方をすれば印象として心に受け入れる能力が鋭いため
いいものも
わるいものも
自分の中に入ってきてしまう
そのため状況によっては非常に疲れやすい体質で
眠りたい時がたびたびあったからです
この体質のために心身ともに参ってしまう時期が続いたので
私なりの対処方法を2つ考えました
ひとつは何を気にするのか
何を切り捨てるのか
自分の中で選ぶこと
自分のもてる荷物だけをもって
あとは置いていき
ふりむかないようにすること
ふたつめは
気にしたくないものごとなんだけれど
強く感じすぎて体内から出ていかないのであれば
自分自身でそれを相殺する美しいものをつくりだすこと
絵を描いているのはそのためです
個人的な価値観ですが
私は作家の眼差しが絵に投影されると思っています
この現実世界をどのように見ているかが作品に出る
きれいな絵を描きたいのであれば
技術の反復練習や優れた画材を使用することも大切ですが
それよりもまず
自分の目を濁らせないことが大切なのではないでしょうか
何が好きなのか
逆に知らないことはどんなことか
苦しんだ出来事から学んだことは何か
どんな考え方をして誰と一緒にいたいのか
自分のなかの思想や哲学をきちんともっているのか
私は母方の祖母に可愛がられて育ったのですが
祖母は調理師の免許を持っていて台所にたつのが好きでした
彼女は調味料のラベルを見て
どのような成分が使われているのかをよく確認していました
いつでも
学校へ行かなくても
どんな境遇でも
好奇心を持てば日常から学べることはたくさんあるんだよ
そのような姿勢を私はとても尊敬していました
曇りのない瞳をもつためには
どのような思いをもって毎日を眺めているのか
いい色が出せたり
心が動く作品が生み出せるのは
どのような視点でものごとを見ているのかが
影響しているのではないでしょうか
耐えがたい現実に直面し
自己の存在が揺らぐとき
無意識に
逃げ出したい現実を
記憶から消失させるかのように
明日も
今日と変わらない出来事が待っていることを
現実だと
思うことにより
意識的に記憶から消失させる
私が私の存在を肯定しているという
健康な状態を取り戻すために
自己との対話をはじめる
内なる言葉がささやきながら
ありがとう見つけてくれてと
存在が現れる
価値ある生物だと生物が認識している
揺るぎない自己への信頼を取り戻すため
導きの言葉を作り出す
その思索する行為をもって
私にとってのお守りとなる言葉を考えることが
私たちは可能である
日常からヒントになる材料の欠片を集め
真摯に向きあい
全てのものごとは理解できないと理解するのである
何もしていなくても
そこにいてよいのだという
真実
真実とは
どんなときも
変わらない
本当のこと
花も 海も 人間も
AI も 野菜も 高層ビルも
自転車も 数字も
四季も 空気も 音も
コロナウィルスも 顕微鏡も
月も 天翔ける流れ星も
大地の中に眠ってい化石も
枕詞も 神様も
特別な何かをする必要なく
そこに存在している
私の考える
美しい生き方である
死の淵から
よみがえるとき
己が出した答えであれば
それは全て正しいのである
隣り合う誰もが平穏に生きていく世界とは
限りなく難しいという
その根本の見直しが出来たらなと
私は思う