By hdmser on 2025年02月17日(月)
Category: Essay

くれないのうた

私はむなしかった
なぜならからっぽであったから
嵐がきたとき すぐに折れてしまう
その日の天気に いつもおびえている 私であった

私は考えた
なぜ力のあるものは 力のないものを 力で制しようとするのか
私も力をつける 努力をすればよいのだろうか
来る日も来る日も考えた
しかし答えは結局 みつからなかった

私は考えるのをやめていったん忘れることにした
頭の中を空っぽにして 土を耕して種をまいた
作物が取れるように 収穫の日がくるまで畑をして 働こうと決めた
私は働いた
手が足りなくて 困っていたら 手を貸した
自らの手を 休めることは しなかった
手を休めたがっているものがいれば そのもののかわりに 手を貸した
私の手は泥でまみれていたが 私は気に留めなかった それらに対して 気に留める時間がなかったから
来る日も来る日も ただ
私は働いた

しだいに 周りの声が気にならなくなった かわりに自分の声が 内側からきこえてきた

どのようなものになりたいか という問いかけに
おもったとおりのものになる という言葉が導き出されていた

私は願った
恵みの雨でありたいと
今はできなくて 当たり前だけれども
これから育てていくから 平気だと
経験の 練習をしているから 平気だと
起こった出来事を 私は振り返ることが できるから 平気だと
必ず次につなげていくからと
私は願った

大地に根をはり
とこしえの時間をすごすこと
それが私の望むことである
息をして 眠ること
私が望むのは ただ一つ
それだけだ
それは 物静かな海だったのかもしれない
今の私は 自分の足でたつことができている 培ったことを
身についたことを引き出して
ただそこにいる
何を心がけているかをすぐに
答えられるように 準備が出来ている
自らを自らで支えている
得ようと思えば得られると体得したおかげで
不動の幹がつくられたのだ
それ以外のものごとには一切私は興味がない さしておもしろみのないことで
とるにたらない くだらない どうでもいいことだ
私はそのようなものごとに
命を消費したくない
私はここで生きとし生けるものごとをみつめていたいだけだ
普段通りのいつもと変わらない毎日が 明日もやってくる その連続が
なによりいとおしいことなのか
私は知ったのだ
冬は続かない あければ 春が来る
大切なのは きながに まつことである
時間は 早送りはできない
なにごともおもうとおりにやろうとおもいあがるな
万物には順序がある
森を見ろ
鳥たちは文句を言っているか
無いものを嘆いて当たり散らしているか
なぜ己にできることをまず模索しようとすらしないのだ
足りないから奪うのか
もっているものはそれを簡単にもっていると思うなよ
それをもつためにどれほどの涙を流したのかおまえたちにはわかるのか

私は眠りについた
もう目を覚ますことはないだろう
ひとつだけ例外があるとしたら
それは私にしかできない力をつかうときだけである
しかし私はそれはできるだけつかいたくない
あまりにもつかうと疲れるからだ
なるべくその力をつかう日がこないことを私は祈っている 

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