くれないのうた
私はむなしかった
なぜならからっぽであったから
嵐がきたとき すぐに折れてしまう
その日の天気に いつもおびえている 私であった
私は考えた
なぜ力のあるものは 力のないものを 力で制しようとするのか
私も力をつける 努力をすればよいのだろうか
来る日も来る日も考えた
しかし答えは結局 みつからなかった
私は考えるのをやめていったん忘れることにした
頭の中を空っぽにして 土を耕して種をまいた
作物が取れるように 収穫の日がくるまで畑をして 働こうと決めた
私は働いた
手が足りなくて 困っていたら 手を貸した
自らの手を 休めることは しなかった
手を休めたがっているものがいれば そのもののかわりに 手を貸した
私の手は泥でまみれていたが 私は気に留めなかった それらに対して 気に留める時間がなかったから
来る日も来る日も ただ
私は働いた
しだいに 周りの声が気にならなくなった かわりに自分の声が 内側からきこえてきた
どのようなものになりたいか という問いかけに
おもったとおりのものになる という言葉が導き出されていた
私は願った
恵みの雨でありたいと
今はできなくて 当たり前だけれども
これから育てていくから 平気だと
経験の 練習をしているから 平気だと
起こった出来事を 私は振り返ることが できるから 平気だと
必ず次につなげていくからと
私は願った
大地に根をはり
とこしえの時間をすごすこと
それが私の望むことである
息をして 眠ること
私が望むのは ただ一つ
それだけだ
それは 物静かな海だったのかもしれない
今の私は 自分の足でたつことができている 培ったことを
身についたことを引き出して
ただそこにいる
何を心がけているかをすぐに
答えられるように 準備が出来ている
自らを自らで支えている
得ようと思えば得られると体得したおかげで
不動の幹がつくられたのだ
それ以外のものごとには一切私は興味がない さしておもしろみのないことで
とるにたらない くだらない どうでもいいことだ
私はそのようなものごとに
命を消費したくない
私はここで生きとし生けるものごとをみつめていたいだけだ
普段通りのいつもと変わらない毎日が 明日もやってくる その連続が
なによりいとおしいことなのか
私は知ったのだ
冬は続かない あければ 春が来る
大切なのは きながに まつことである
時間は 早送りはできない
なにごともおもうとおりにやろうとおもいあがるな
万物には順序がある
森を見ろ
鳥たちは文句を言っているか
無いものを嘆いて当たり散らしているか
なぜ己にできることをまず模索しようとすらしないのだ
足りないから奪うのか
もっているものはそれを簡単にもっていると思うなよ
それをもつためにどれほどの涙を流したのかおまえたちにはわかるのか
私は眠りについた
もう目を覚ますことはないだろう
ひとつだけ例外があるとしたら
それは私にしかできない力をつかうときだけである
しかし私はそれはできるだけつかいたくない
あまりにもつかうと疲れるからだ
なるべくその力をつかう日がこないことを私は祈っている
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